スイッチングハブとIPアドレス?

家庭用のルーター(ブロードバンドルーター)やスイッチングハブ(L2スイッチ)の話です。業務用について知りたい方は戻って他のページを探してください。

スイッチングハブとIPアドレス?

「ハブ IPアドレス」でぐぐって来る方が多いです。疑問に思われているポイントがいまいちわからないのですが、適当に推測して書いてみます。

ブラウザでルーターのIPアドレスを指定するとルーターの設定画面が出るのと同じように、ハブのIPアドレスを指定するとハブの設定画面を呼び出せる?

ふつうの家庭用スイッチングハブには設定は特にありませんので設定画面もありませんしそれを呼び出すIPアドレスというのもありません。

設定があるスイッチングハブの場合は設定用のIPアドレスを持っている場合がありますがその場合はマニュアルに記載があると思いますのでそちらをご覧ください。

口から口へデータを伝えるというハブの本来業務のためにはハブ自身はIPアドレスを持つ必要がありません。ハブ自身の設定用に必要とかでなければIPアドレスはついていないと思います。

ハブの口につないだ機器のIPアドレスはどのように割り当てられる?

テレビの外部入力端子にひとつずつ外部入力1、外部入力2、外部入力3のような番号が付いているのと同じようなイメージで、ルーターの背中の口にひとつずつローカルIPアドレスがついていると誤解している人が多いように思われます。そのような誤解をしたままだと、増やしたハブの口につないだ機器のIPアドレスはどうなるのか?と疑問に思われるのかもしれません。

ブロードバンドルーターのLAN側に並んでいる口はルーターに内蔵されているハブの口です(ここがおわかりでない場合はまずこちらをどうぞ)。ローカルIPアドレスはハブの口に割り当てられているのではなくPC等の機器側についています。

ポート開放するとき、ハブが間にはさまっていたら、「ハブのIPアドレス」をルーターに教えたりしなくていいの?

ポート開放にハブは関与しません。素通りです。ハブのことは考えずにルーターと末端の機器だけ設定すればOKです。ちなみにポート開放の「ポート」はソフトウェアの中の存在で、ハブのLANポートとはまったく無関係です。

その他

IPアドレスに関してはハブは基本的に、関与しない、素通り、透明、なくてもあってもタコ足にしても関係ない、と考えるとわかりやすいかもしれません。

ちなみにアクセスポイント(ブリッジモードにした無線ルーター)とIPアドレスの関係もハブの場合と似たようなものです。アクセスポイント自身はIPアドレスを持っていますが、これはアクセスポイントの設定画面を呼び出すために使うだけです。つないだ機器のIPアドレスの割り当てとかポート開放とかにはアクセスポイントは関与しません。素通りです。

スイッチングハブがデータの宛先を見てどの口に送り出すか決めるなら、どうしてIPアドレスに関与しないでいられる?

実はスイッチングハブが見ているのはMACアドレスというものです。ざっと図に書くとこんな感じです。

インターネットにつながっているコンピューターはTCP/IPで世界中とデータのやり取りを行うことができます。TCP/IPは世界規模の宅配便会社のようなものです。TCP/IPで宛先を指定するのに使われるのがIPアドレスです。TCP/IPでやりとりされるデータはIPパケットという入れ物に入れられてそのヘッダに宛先と送り元のIPアドレスが書かれています。

TCP/IPは世界規模を誇るくせにトラック等を持っていない宅配便会社のようなものです。実際の配送は地元の運送業者であるイーサネットに委託します。

イーサネットの世界で使われる宛先はIPアドレスではなくMACアドレスです。MACアドレスはメーカーが有線LANや無線LANの装置を製造したとき付けた装置の個体識別番号です。イーサネットでやりとりされるデータはイーサネットフレームという入れ物に入れられてそのヘッダに宛先と送り元のMACアドレスが書かれています。イーサネットフレームの中にIPパケットが入っていて、さらにその中に実際に送受信するデータが入っているという入れ子構造になっています。

TCP/IPは、送り先のIPアドレスに対応するMACアドレスを調べて、そのMACアドレスに送るようイーサネットに依頼します。送り先のIPアドレスが同じネットワーク内でない場合は、デフォルトゲートウェイのIPアドレスに対応するMACアドレスに送るよう依頼します。上図の一番右のイーサーネットフレームの宛先がルーターLAN側のMACアドレスになっているのはそのためです。

IPアドレスとMACアドレスの対応を知っているのはTCP/IPです。イーサネットはIPアドレスのことは何も知りません。逆に、TCP/IPは、イーサネットの社内事情(ハブをいくつ経由しているのか、ハブの口がいくつあるのか、など)については何も知りません。

 

スイッチングハブはイーサネット運送の営業所なんですね。イーサネットの世界の存在ですから、IPアドレスは認識しません。MACアドレスだけを認識します。

スイッチングハブは、各口の先につながっている機器のMACアドレスを記憶するMACアドレステーブルというものを持っています。つながっている機器のMACアドレスを自動的に学習して記憶します。口の先にタコ足ハブがつながっている場合はタコ足の末端の全部の機器のMACアドレスを記憶します。

スイッチングハブは、入ってきたイーサネットフレームに書いてある宛先MACアドレスと、中に持っているMACアドレステーブルを照合して、そのイーサネットフレームを送り出す口を決めます。イーサネットフレームは宛先を見るだけで素通りさせます。その中のIPパケットに書いてあるIPアドレスは見ません。ほんとに関与しないんです。

イーサネットは地元の運送会社なので、家の中のイーサーネットの配送エリアはルーターより内側だけです。ルーターの外側←→内側はルーターが中継します。 ルーターは、受け取ったイーサネットフレームからIPパケットを取り出して、ヘッダのIPアドレスを書き換えてWAN側←→LAN側の橋渡しをして、反対側のイーサネットに配送委託し直します。

 

ちなみに無線LANアクセスポイントもMACアドレスで宛先を認識します。有線LAN用のイーサネットフレームと無線LAN用のフレームを相互変換しますが中身のIPアドレスには関与しません。アクセスポイント自身の設定用IPアドレスは、アクセスポイントに内蔵されている設定用コンピュータをパソコン等から呼び出すためのもので、アクセスポイントを通過してやりとりされるデータにはなんの関係もないです。

DHCP、固定IP、NAPT、ポート開放、デフォルトゲートウェイ、IPv4、IPv6などはTCP/IPの世界の話であり、スイッチングハブやアクセスポイントはこれらについては無関係です。雲の上でそのようなことが行われているとはつゆほども知らずに黙々とフレームを配送するだけです。(アクセスポイント内の設定用コンピューターがIPアドレスを取得するためにはDHCPや固定IPは関係します。)

参考:
ルーターとハブの違い
ルーターとハブの違い おまけ

もっと詳しく知りたい方はすみませんがいろいろぐぐったり本を読んだりしてください。