ルーターを2個つなぎたい、ルーターにルーターをつなぎたいとググってここに来たあなたがしたいのはひょっとしてこういうことではないでしょうか?
【A】 口(LANポート)を増やすために有線ルーターを買い足してつなぎたい
【B】 有線ルーターに無線ルーターを追加したい
【C】 口を増やすために余っているルーターを使いたい
【D】 無線ルーターを使っているが、もうひとつ無線親機を追加したい
もしそうであればあなたはもしかしたらルーターについて誤解しているかもしれません。上のようなことをするのにルーターを複数つなぐ必要はありません。むしろルーターはひとつだけにしたほうがよいです。
このページはうっかりルーターを2台つないでしまわないようにするための説明です。上のようなケースの方には参考になるかもしれません。
「えっ!? 追加用の無線ルーター、もう買ってしまったよ」というあなたもたいてい大丈夫です。もう少し下まで読んでみてください。
ちなみにほんとうにルーターが複数いる(かもしれない)のは以下のようなケースです。
これらの方は「ルーターを2個つなぎたい」というような検索のしかたはしないと思いますのでこのページでは説明しません。すみませんが戻ってよそのサイトを探してください。
「有線と無線を両方使いたいけど、モデム/ONUのLAN端子がひとつしかなくて、そこにはすでにPCが有線でつながってて、無線ルーターを買ってきても刺す口がない」という方はこちらをご覧ください。
いいえ。ルーターは口を増やしたり電波を出したりする装置ではありません。
「ルーターを2個つなぎたい」という方は、このあたりを誤解している場合が多いのではないでしょうか。
口を増やすのはハブ、電波を出すのはアクセスポイントです。ルーターはどちらもしませんから、「口を増やしたい」「電波を出したい」という動機でルーターを増やそうと考えるのは根本的に間違っています。
回線とLAN端子の変換をする装置です。回線の種類によってはVDSL装置など別の名前の場合があります。その場合はこのページでモデム/ONUと書いてある部分をその名前に読み替えてください。光マンションタイプなどで家に来ている回線がLAN端子の場合は使いません。
ひとつの回線に複数台の機器をつないで同時にネットするための交通整理をする装置です。口を増やしたり電波を出したりして複数台の機器をインターネットにつなぐ場合に必要な装置ですが、ルーター自体が口を増やしたり電波を出したりするわけではありません。
一般的な家庭内LANの場合、ルーターはモデム/ONUのすぐ内側(モデム/ONUがない場合は一番外側)に1台だけつなぐのがよいです。同時にネットできるようにするには、すべての機器がひとつのルーターを通って外とつながるように配線します。
口を増やす装置です。口が足りなければ複数個のハブをタコ足にしてもかまいません。ルーターの内側ならどこでもつなげられます。
ルーターより外側にハブをつないで分けると同時にネットできません。
Wi-Fiの電波に変換する装置です。無線親機です。ルーターの内側であればどこでもつなげられます。無線LANを使わないならいりません。
ややこしいのは複数の機能がひとつの装置に入っていることです。これがいろいろな誤解を生む元になっていると思われます。
ルーター内蔵 モデム/ONU |
モデム+ルーター モデム/ONU+ルーター+ハブ モデム/ONU+ルーター+ハブ+アクセスポイント |
モデムのLAN端子がひとつだけでもルーター機能を内蔵している場合があります。 単にルーターと呼ぶ場合があります。 ホームゲートウェイ(HGW)と呼ぶことがあります。 |
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有線ルーター |
ルーター+ハブ |
家庭用の有線ルーターはたいていルーターの背中にハブがくっついたものです。 ハブの口がいくつもついているので口を増やす装置と誤解されがちですが、すでにルーターがあるところにつなぐと、ルーターが2重になってしまいます。 |
無線ルーター |
ルーター+ハブ+アクセスポイント |
「無線LANルーター」というのは、「無線LANアクセスポイントが内蔵されているルーター」ということです。ルーター機能自体は有線ルーターと同じものです。 市販のたいていの機種では、 ルーターをOFFにするモードがついています(ブリッジモード、アクセスポイントモード等メーカーにより呼び名はいろいろ)。 すでにルーターがあるところにつなぐ場合は、このモードを使えば、2重ルーターを回避して 口を増やす機能と 電波を出す機能だけを使うことができます。 (海外メーカーの製品にはルーターOFF機能がないものがありますのでこれから買う方はご注意ください。) 無線の暗号化は アクセスポイントの機能なので、 ルーターをOFFにしてももちろん働きます。 |
有線ルーターまたは無線ルーターひとつだけで済んでいる場合は「ルーターは口を増やしたり電波を出したりする装置」となんとなく思っていれば済むのかもしれませんが、それ以上の機器をつなぐ場合は、それぞれの装置にどういう機能が入っているかを理解しておかないと、なぜうまくいかないのかさっぱりわからない状態になると思います。
ルーターが何をしているのかもう少し具体的に知りたい方はこちらが参考になるかもしれません。
→ルーターって何をやってるの?
ルーターを2つつなぐと、よけいな交通整理のせいで、
設定がややこしくなる
性能低下
別のルーターにつないだパソコンやプリンタなどが見えなくなったりする
ことがありますので、必要もないのにやるのはおすすめしません。
以下では、2重ルーターを避けつつ、冒頭にあげた【A】~【D】を実現するための方法を考えます。
すでにルーターがある場合は、買い足すのは有線ルーターではなくハブがよいです。
ハブのマニュアルを見ても使い方などは特に書いてないと思いますので基本的な使い方を書いておきます。もしマニュアルになにか書いてある場合はそちらを優先してください。
現在売られているふつうの家庭用のスイッチングハブには設定等は特にありません。買ってきて線をつなぐだけで使えます。
ルーターと違ってハブのポートにはWAN側/LAN側のような区別はありません。どの口にどれをつないでもかまいません。
ルーターより内側のLANポートはどこでもハブで増やすことができます。追加したハブの先にさらにハブを追加することもできます。ルーターより外側にハブをつないで分けるのは交通整理できないのでだめです。
100Mbpsタイプのルーターにギガビットハブを追加することは可能です。ギガビットハブにギガビットケーブルでつないだギガビット対応の機器どうしの通信は速くなります(外のインターネットへのアクセスが速くなることは期待できません)。
ケーブルをつなぐときはループ(ハブとケーブルで輪をつくること)をしないようにご注意ください。ループ箇所がひとつでもあると、そのハブだけでなく家の中のLANが全部麻痺します。掃除のあとケーブルを刺し直すときや、お子様のいたずらにご注意ください。
ハブについてネットでよく見かける以下のような説明は昔の話です。これからハブを買ってきてつなぐ方は気にする必要はありません。
ハブよりスイッチのほうが効率的、クロスケーブルを使うべし、カスケード接続する場合はハブ2段(4段)まで
5ポートのハブでは実質3つしか口が増えません(ハブとハブ(ルーター)をつなぐために双方から口をひとつずつ取られるためです)。ケーブルも1本余分に必要です。購入の際はご注意ください。
無線機能を追加するならアクセスポイントを買ってくればOK…のはずなんですが、あんまり売っていないみたいですね。その場合は無線LANルーターを買ってきて設定を「ブリッジモード(アクセスポイントモード、無線ハブモード)」に切り替えるとルーター部分が働かなくなるのでアクセスポイント+ハブとして使えます。これにより2重ルーターを避けることができます。
アクセスポイント(ブリッジモードにした無線ルーター)は ルーターより内側ならどこでもつなげられます。ルーターの内側であれば、追加したハブの先とかでもかまいません。
ブリッジモード時に無線ルーターのWAN(INTERNET)側の端子がハブの口になるか使えなくなるかは機種によります。
具体的な設定のしかたは機種により違いますので無線ルーターのマニュアルをご覧の上設定してください。
海外メーカーの製品にはアクセスポイントモードに設定したときに内蔵のDHCPサーバーが連動してオフにならないものがあります。余計なDHCPサーバーはネット接続を妨害するため、海外メーカーの製品をご使用の場合はアクセスポイントモードに設定したあとDHCPサーバーがオフになっているかを確認して、もしなっていない場合はオフに設定してください。
無線ルーターをブリッジモード(アクセスポイントモード)にすればルーター機能がOFFになってアクセスポイント+ハブになりますので2重ルーターにならずにハブ部分を使うことができます。アクセスポイントの電波が邪魔なときは電波をオフすればよろしいかと思います(その機能がある場合)。
無線ルーターの機種によっては、 アクセスポイントモード時にアクセスポイント設定画面呼び出し用のローカルIPアドレスが固定になります。このような機種をふたつアクセスポイントモードにしてつなぐとIPアドレスがバッティングしてまずいです。この場合はIPアドレスを変更する必要があります。詳しくはマニュアルをご覧ください。
海外メーカーの製品にはアクセスポイントモードに設定したときに内蔵のDHCPサーバーが連動してオフにならないものがあります。余計なDHCPサーバーはネット接続を妨害するため、海外メーカーの製品をご使用の場合はアクセスポイントモードに設定したあとDHCPサーバーがオフになっているかを確認して、もしなっていない場合はオフに設定してください。
有線ルーターにはブリッジモードのようなものはふつうついていないと思いますのでふつうにつなぐと2重ルーターになってしまいます(ブリッジモードがある機種の場合はブリッジモードを使えばよろしいかと思います)。
有線ルーターのインターネット(WAN)側の端子を使わずにLAN側の端子だけを使えばハブとして使うこともできなくはないです。が、そのままつないではだめです。
ルーター内蔵のDHCPサーバー機能が生きたままでつなぐと、ネットワーク内に2つのDHCPサーバーがある状態になってしまってまずいです。まずルーターとパソコン1台だけをつないだ状態で、ルーターの設定画面を呼び出して、DHCPサーバー機能をOFFにしてやる必要があります。
ルーター自身のローカルIPアドレスがLAN内のほかの機器と矛盾しないようにIPアドレスの設定を変更してやる必要もあるかもしれません。
ハブ買ってきたほうが簡単だと思いますが、挑戦したい方はいろいろ調べてやってみてください。
アクセスポイントを複数設置することは可能です。2重ルーターにならないように、追加する無線ルーターをブリッジモード(アクセスポイントモード)に設定してつなぎます。
アクセスポイント(ブリッジモードにした無線ルーター)は ルーターより内側ならどこでもつなげられます。ルーターの内側であれば、追加したハブの先とかでもかまいません。上の下段の図では、右側の無線ルーターは有線ルーターの背中につないでももちろんかまいません。
無線ルーターの機種によっては、 アクセスポイントモード時にアクセスポイント設定画面呼び出し用のローカルIPアドレスが固定になります。このような機種をふたつアクセスポイントモードにしてつなぐとIPアドレスがバッティングしてまずいです。この場合はIPアドレスを変更する必要があります。詳しくはマニュアルをご覧ください。
海外メーカーの製品にはアクセスポイントモードに設定したときに内蔵のDHCPサーバーが連動してオフにならないものがあります。余計なDHCPサーバーはネット接続を妨害するため、海外メーカーの製品をご使用の場合はアクセスポイントモードに設定したあとDHCPサーバーがオフになっているかを確認して、もしなっていない場合はオフに設定してください。
別の選択肢として無線LANの電波の中継機能を持つ無線ルーターを使うという手があります。これは無線ルーターの一般的な機能ではなく機種固有の機能で、中継機能を謳っている機種でも実態はいろいろのようなので、ここでの説明は割愛します。興味のある方はメーカーサイトなどでニーズにあった機能を持つ機種がないか探してみてください。
ルーターより外側にハブをつないで分けるのは交通整理できないのでだめです(同時にネットできません)。
参考
ネットの回線を分配してつなぐ機器を増やしたい・LANポートを増やしたい